Région

早く、強く 挑戦しつづける
〜サッカーを通じた豊かな地域づくりを目指して〜

今後の展望目標はJ1優勝と地域共存

――2022年度シーズンを振返ると?

昨シーズンは、新監督に柴田氏を迎え、選手も半数近く入れ替わるという形で新たなスタートを切りましたが、シーズン序盤からケガ人が続出し、思うようなメンバーが組めず、戦力半減という苦しい立ち上がりとなりました。そこで、夏の移籍期間を利用しケガ人の補強を行ったのですが、これがハマりました。後半の怒涛の追い上げもあり、終わってみれば全16チーム中4位という好成績を残すことができ、特にシーズン後半は歴代で一番強いチームだったと思います。

――2023年度シーズンの目標は?

来シーズンの目標はもちろんJFL優勝とJ3への昇格です。昨シーズン後半の状態を継続することができれば、優勝も十分に狙える位置にあると思っております。来シーズンも柴田監督の続投が決まりました。監督のサッカーは、しっかりとした「守備」を基本とし、良い守備から良い攻撃へと展開するサッカーです。全ての選手がハードワークをこなす、まさに森保ジャパンの戦術と似ています。選手、チームスタッフともに、これまでにない手応えを感じていると思います。

――目標とするチームは?

J1の「川崎フロンターレ」です。首都圏には多くの人気プロサッカーチームが存在する中で、同チームは他チームとの差別化を図るべく「地域社会との共存」をテーマとしたチーム作りを徹底しました。地元川崎市でのサッカースクールの実施といったサッカーに関することだけでなく、地域のまつりや商店街行事への参加、また、ホームゲームでのサイン会実施等地道に活動を続けてきました。こうして、強いだけでなく、地域になくてはならないプロサッカーチームとなっていったのです。
我々も、サッカーを通じて地域と共存し、青森県の誇りと言ってもらえるようなチームになりたいと思っております。

――ロードマップを教えてください

当初掲げていたロードマップからは少し遅れていますが、基本的な考え方は変わっておりません。一歩一歩前進し、将来的にはJ1での優勝を目指しています。決して簡単な道のりではありませんが、前述の通り、地域と共存するサッカーチームとして、地域の皆様と共に歩んでいきたいと考えております。

サッカーワールドカップカタール大会を振り返って

――日本代表の戦いについては?

基本的には皆さんと同じ感想です。決勝トーナメント1回戦でクロアチアにPK戦の末敗れ、目標としていたベスト8に届かなかったことは残念ですが、格上で優勝候補にも挙げられるドイツやスペインを破り、一次リーグ首位通過を果たしたことで世界中から注目を集めましたね。

「三苫の1ミリ」に代表される通り、日本代表の最後まであきらめない姿勢には感動しましたし、サッカーのすばらしさが、改めて日本中に伝わった大会になったのではないかと思います。

――印象に残った試合は?

今回のワールドカップは見応えのある試合が多かった印象ですが、中でも決勝戦のアルゼンチン対フランスは別格でしたね。私が今まで見てきたワールドカップの試合の中でも、今回の決勝戦は最高の試合だったと思います。アルゼンチンの36年振りの優勝と、メッシ選手の「有終の美」で幕を閉じる大会となりましたが、前回王者のフランスが劣勢を強いられる展開の中で、エムバペ選手が流れを戻す最高のボレーシュートを決めるなど、ハットトリックを達成しましたね。エムバペ選手がいかにすごい選手かを、改めて思い知りました。

――その他、印象に残った選手などは?

日本代表の柴崎岳選手ですね。試合には出場していませんので不思議に思うかもしれませんが、彼は日本代表チームの中で非常に重要な役割を果たしていました。

これはあまり知られていないかもしれませんが、日本代表選手を決める際、森保監督は彼に出場機会はないかもしれないことを告げていたようです。

つまり、彼に求められていた最大の役割は、チームの精神的支柱として、サッカーに取り組む「姿勢」でチームを牽引することです。そのうえで彼は自分の役割を理解し、しっかりとその役割を果たしました。あまりTVには映っていませんでしたが、ランニング一つを見てもその真剣さが伝わってきますし、その「姿勢」を貫く彼の行動には感動しました。

私は、彼が小さいころからよく知っていますが、彼のサッカーに対する姿勢は目を見張るものがあり、それは昔から変わっていません。青森県(野辺地町)出身である彼には、是非とも将来ラインメール青森フットボールクラブの監督になってほしいです。

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取材を終えて

榊社長は、東和グループの社長として忙しい日々を送りながらも、チームのオーナーとして、時間が許す限り現地へ足を運び試合を観戦するという。また、現地に行けない場合でも、必ず全試合をチェックしているというから驚きだ。選手や監督、チームのスタッフと積極的にコミュニケーションを図る姿も印象的であった。

これは、チームのオーナーであると同時に、一番のチームのファンでもあるのだろう。そして、そのようなオーナーだからこそ、選手や監督も安心してサッカーに専念できる良い環境となっていると畑中GMは語っていた。

幼い頃からスポーツに取り組んできた人であれば、一度はプロのスポーツ選手になりたいたいと考えたことがあるだろう。実力はさておき、恥ずかしながら私も将来Jリーガーになりたいと思ったことがある一人だ(笑)。今回の取材は、そんなかつての「スポーツ少年少女」にとって非常に興味深い話であったに違いない。ブラボー‼

結びに、僭越ながら榊社長からも地域経済を支える役割を銀行グループとして期待していただいている中で、弊社としても、今回のような地域企業との交流等を通じて、その役割を果たしていきたいと思った次第である。

(取材・編集 川村隼太)

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