STORY

地域デザイン事業

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「五戸町が好きだ!!」―新リーダー・若宮佳一町長の熱視線―

揺れにくい安全な“まち”を敢えて揺らす!

――町長が力を注ぎたい施策は?

新しい「産直施設のようなもの」をつくりたい。場所は、八戸駅の西口から六戸町を通って十和田市に繋がる県道20号線が交通量も多く八戸市・十和田市を行き交う人の流れに魅力を感じています。

現在、ひばり野地区の運動公園近くに、「ふれあい市ごのへ」という産直施設が既にありますが、品物に魅力があるのか近隣市町村からの買い物客も多数来ています。県道20号線沿いの場所は上市川地区周辺になりますが地域の特色も活かして何かできる事業はないかと模索しています。地域の皆さんが中心となって熱意をもってやってくれれば成功するのではないか?地域の人しか知らないような埋もれた宝を活用できないか検討していきたい。ターゲットは観光客かそれとも通勤客なのか?

コンセプトも大事です。あおもり創生パートナーズ㈱の力で、様々なネットワークも紹介してもらいながら一緒に進めていければ良いと思います。

――「第2期総合戦略」の重点施策は?

「農産物の販売力強化」、「農村地域の活性化推進事業(体験型観光)」、「ふるさと納税促進事業」、「五戸町の魅力発信(ファンづくり事業)」は、産直施設と絡めて一緒に考えられると思います。

いくつかの課が様々な形で係わり、町としても盛り上がる、目玉になる施策になり得るのではないかと思います。「政策調整室」を本格的に機能させて取り組めば面白いことになるんじゃないかな。

ふるさと納税は町議員も注目している強化したい事業です。ふるさと納税に関連して雇用が生まれることも期待できます。また、観光客向けのワンストップ対応窓口があれば、体験型観光の申し込みから現地まで連れて行ってくれる町内観光が可能になると思います。

五戸町観光戦略の策定に当たっては、戦略を創る段階から町の人たちと一緒に考えたいと思います。そうしないと町の人の心は離れてしまう。熱意をもって取り組んでいる人達と、創る段階から例えば月に1回なり協議するなどして、町は事務局を担う形でやれば良いと思います。

更に、広域連携先であるVISITはちのへ(八戸圏域DMO)との住み分けも協議していかないといけない。お互いに同じことにお金を使っているようでは無駄が発生するので、例えば、八戸圏域まで来た外国人観光客を各町村の広域観光の観光戦略に取り込むといった具体策を創る必要があります。そういう圏域の共通理解と合体させなければ良い観光戦略はできません。あおもり創生パートナーズ㈱とも協力して行ければ良いと思っています。

また、総合戦略を実現するにあたって、SDGsは大事な概念だと思います。SDGsは2015年9月に国連の「持続可能な開発目標のための2030アジェンダ」で設定されたものです。まだ、国内でも何言っているか良くわからないという人も多くいらっしゃると思いますが、2030年を期限として17の目標と169のターゲットを定めています。あらゆる貧困に終止符を打ち、不平等を是正し、気候変動に対処するなど、「誰も置き去りにしない」ための取り組みを掲げているものです。

実は、先程からの「産直施設のようなもの」もSDGsの概念だと思っています。物事をなんでも繋げて考えてみれば面白いですし、逆に単独で成り立つものは珍しいです。

役場の中で、施策を繋げて進めるためには各課に横串を刺せる組織が無いと、どうしても最後まで続かないと思います。そのために町長直属の「政策調整室」を創ったという話に戻ります。

お互いの話を聞いて、それぞれにとって良いものを作れば良いんです。たぶん、横串を刺す方も刺される方も、お互い痛みを伴うものと思います。最初は「今までよりも忙しくなる」とか「この仕事はどこの課の仕事だ」等と必ず宙ぶらりんなものが出てくるもので、それを「エイ!」と分けてやるのが「政策調整室」の役割だと思います。最初は発生するかもしれない「痛みのようなもの」を未来のために乗り越えていこうと思います。

――事務の省力化については?

今後、AI(人工知能)には頼っていかないとダメだと思います。人がどんどん少なくなる分、ロボットによる業務自動化を進める必要があります。

それと、新型コロナウイルスを機に注目されているのが、ハンコです。日本はハンコ文化だから、外出自粛要請中でも決裁をもらうためにわざわざ出勤することが話題になりましたね。役所も書類には全部ハンコですから、銀行もそうですが。去年、町の職員から、「もうハンコ押すのはやめて、メールでも良いんじゃないですか?」という意見がありました。当時は突拍子も無いこと考えるなと思いましたが、確かにメールを送った時点でもう証拠が残りますからね。どうしても、ハンコが無ければだめだという書類もありますけども。実際、時間の無駄ですよね。ハンコを貰うために廊下でじっと立って待っているのは。新型コロナの前までは、ハンコをコミュニケーションツールとしてとらえれば、それも大事なんだべなと思っていました。(笑)しかしながら、ICT化が進み、人と人の距離がどんどん希薄になっていく中で、ハンコを無くせば効率化は進みますが、プラスアルファのコミュニケーションや人との繋がりが不足してきますよね。そういえば、「AI技術が発展すれば、今後は人の心の機微を理解する分野だけが仕事として残るだろう」と誰かが言っていたのを思い出すね。

やっぱり、行政マンは、「地域住民の命・健康を守る」ことが最優先なので、効率化だけ図れば良いというわけではないですから。AIでは対応できないサービスは、コミュニケーションをとって寄り添いながら取り組むことが求められるでしょう。

――アフターコロナを展望すると?

新型コロナの影響で見直されている仕事があると思います。医療や介護、物流という、今までは人手も必要で辛い仕事と捉えられてきたものが、新型コロナを経験したことにより重要性に改めて気付かされた部分もあると思います。「健康あっての経済活動」が原点ですから、いろいろな所で「生き方」や「働き方」が変わってくるだろうと思います。

これから、アフターコロナのアイデアを出そうとしています。現場は、今の状態を何とかしないといけませんし、同時にそのあとのことも並行して対策を取らないといけないと思っています。今回のような感染症の拡大は歴史的にみれば過去にもあったことだと思うので、人類の進化の過程でウイルスと共存しながら、困難を乗り越え、次の時代に向けて、生活スタイル等も変えていくことが我々に求められていることだと思います。

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取材を終えて

令和という新しい時代に誕生した若宮佳一町長。過去100年間経験したことの無い新型コロナウイルスという未曽有の危機に出鼻を挫かれたかに思えたが、本人はいたって冷静且つ熱量が増してきた様子だ。変革期に必要な「自ら行動を起こす勇気と発想力」を持ち合わせているリーダーだ。その原動力は「五戸愛」なのか?「五戸愛」ならば、役場職員や地域住民の心にそれが伝播し、住民の期待、実感、確信、自信へと変化することを望みたい。私はこの町の発展した姿をこの目でもう一度確かめるため、数年後の若宮町長をまたインタビューしたいと思った。(取材・編集 島村亘)

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