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経営サポート事業

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ロボットビジネスと地方創生

ロボット導入のメリット① 
介護―介護離職防止の一助にも―

【北河】 介護される方が減少すると、当然、公的な介護費用の削減にもつながり、行政負担も減ってきます。自立歩行することによる家族の負担の減少や、本人の職場への復帰も可能になるかもしれません。こうしたリハビリや介護の分野では、介護離職を減らすという観点からも有効だと考えています。

介護ロボットは、段階的に着眼点が変わってきています。例えば、装着型ロボットを装備した人が被介助者を持ち上げるのではなく、ベッドの半分を起こして車いすのように動かしてしまう。べッドから立ち上がる時、被介助者がロボットにもたれかかって立ち上がり、そのままロボットにもたれながらトイレまで歩いていくものもあります。歩行をアシストするロボットには坂を降りる時はブレーキをかけながら進み、傾きを補正する機能(ジャイロ機能)を備えているものもあります。

こうした自立を支援するロボットがこれから普及するのではないかと思っています。これまでは大きくてゴツゴツしており部屋の雰囲気にマッチしないロボットも多かったのですが、現在は使いやすく、スタイリッシュで馴染みやすい形へと小型化が進んでいます。

介護業界での普及は、正直に言って、進行と停滞を繰り返している状態です。なぜかというと、介護ロボットの導入に際し、国の補助金が適用になる期間は導入促進がみられますが、その時期が過ぎると途端に売れなくなります。補助金を利用して負担なく購入できるなら導入したいという傾向がみられます。また、使い方がよくわからないとか、装着型ロボットは装脱着が面倒などの理由で、導入を諦める方もいるのは事実です。でも一部の人には、必要不可欠な存在になっており、コアの利用者は増加しています。

ロボット導入のメリット② 
医療―院内感染防止に有効、求められる建物構造の変革―

【北河】 現在、Society5.0の地方展開の具体策の一つとして、スマートシティの構築が推進されています。RobiZyでは医療分野に着目しており、ロボットやAI、IoTが稼働しやすい病院の建造プロジェクトに取り組んでいます。RobiZyのメンバーには、大手ゼネコンの医療設計を担う部署、病院内搬送ロボットを作っている企業、業務用掃除ロボットを遠隔で制御するシステムを持っている企業など、多彩なメンバーが集まっており、スマートホスピタルのスタンダードを造るべく協議を続けています。このスマートホスピタル構想が実現すれば、看護師等の負担軽減や院内感染の防止に役立つことでしょう。

治療の部分ではロボットの導入に向けての準備がいち早く進んでいます。国内で普及している米国製の手術用ロボットの特許切れを背景に、国産の医療ロボットが製造されており、これから普及していくことが予想されます。

病院内では、医療行為のほかに、コ・メディカル(医師や歯科医師の指示の下に業務を行う医療従事者)の問題があります。例えば看護師や医療関連スタッフの方々は、色々なものを触ったり動かしたり食事の給仕などもしており、常に院内感染のリスクが危惧されています。現在、病院内では、ビルメンテナンス会社の従業員が集まらず、掃除のプロではない看護師が担当する場合もあります。あらかじめロボットの動線を確保し、通信環境を整備しておけば、ロボットが代替して掃除をしてくれます。これから新設する病院は、ロボットの導入を見据えた構造にすべきです。これは、看護師の作業負担の軽減や、院内感染を防ぐ決め手になるなど革命的な取り組みになると思っています。

【佐々木】 医療の場合、ロボットの導入は病院が提供するバリューチェーンに深く関わる問題だと思っています。患者さんから見れば受付があり、診察があり、治療行為があり、入院があり、人によってはリハビリをして退院したりします。こうした受付から退院までの非常に長いプロセスのなかでロボットを導入する際には、病院のバリューチェーン全体を見て、各段階の項目を繋ぐことで生まれる可能性を考えていく必要があると思っています。これは外食産業などでも同じです。

【若林】 昨今、多くの企業は情報システムを保有していますが、ロボットに関しても、ロボティックCoE(Center of Excellence、センターオブエクセレンス)という、業務全体を横断的に見て、ロボットの導入を組織として考えていく必要があると思います。RobiZyでは、皆さんにそういうことをお伝えしています。

【越田】 去年聴いたロボットの講演会でも示唆を受けましたが、局所的な事ではなくて、人との共生や、何をやっていくかなど、全体を俯瞰してのロボットの導入でないとだめだと思っています。発想の転換をしないと、まちがえるのではないかと思っています。

【北河】 ロボットを扱える人材を養成しないと裾野が広がりません。例えば、高専、工業高校、農業高校などを対象にした、教育のプログラムなども必要だと思っています。それから、専門スキルを持った優秀な人材は大企業にとられてしまい、せっかく高専があっても地元には、それほど就職しません。

【越田】 県内の高専でも人材流出があるという話は聞いており、危惧しています。そのためターゲットをUターン中心に絞った方が、人材確保に関しては即効性があるのではないかとさえ思っています。いずれにせよ本来的には、ロボットを局所的に導入するといった点での検討ではなく、事業全体を俯瞰して、従来にない発想で面として捉えた上でのロボットの活用を考えないといけないと思います。

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