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地域デザイン事業

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漁業のイメージを変えろ!~海の漢たちの新たな挑戦

筋骨隆々の海の男たちが裸にエプロン姿で満面の笑みを浮かべ、ポージングするトレーディングカード調の「青森の漁師カード」をご存じだろうか。県が漁業や魚のPRの一環として進めたプロジェクトであるが、開始以降ネットやSNSを通じて子供や女性を中心に人気が広がり、様々なメディアでも取り上げられ、「漁師カード」はこれまでの漁業や漁師のイメージを大きく変える一大ブームを巻き起こした。

今回は、話題の「漁師カード」にも登場し、現役漁師ながら自らが地元産鮮魚の直販会社を立ち上げた株式会社尾駮鮮魚団代表取締役 橋本翔氏に、会社設立に至った経緯や事業内容、地元・六ヶ所村への想いや今後の抱負などについてお話を伺った。

橋本 翔

はしもと・しょう:1982年7月、上北郡六ヶ所村生まれ。八戸光星学院高等学校卒。33歳で六ヶ所村漁業協同組合所属の漁師へ転職。2020年8月、共同代表の中田創氏と共に株式会社尾駮鮮魚団を設立し、代表取締役に就任。地域活性化団体「ロッキースタンス」を運営し、村おこし活動にも精力的に取り組んでいる。

株式会社尾駮鮮魚団

所在地: 青森県上北郡六ヶ所村大字尾駮字野附31
資本金: 100万円
代表取締役:中田創、橋本翔
事業内容: 鮮魚直販・加工品製造販売
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東日本大震災をきっかけに漁師へ転職、会社設立へ

――漁師になったきっかけを教えてください

私は生まれも育ちも六ヶ所村です。高校卒業後に村役場の臨時職員として数年働き、その後、村内の民間企業に就職しました。もともと祖父と父が漁師でしたので、よく手伝いはしていましたが、自分の仕事とするイメージは持っていませんでした。

ただ、東日本大震災を機に日々の生活や自分の仕事を振り返り、「自分が本当にやりたいことは何なのか?」と考えるようなり、そんな時子供の頃から身近で当たり前だった漁師という仕事を自分の職業として意識するようになりました。その後も父の手伝いを続ける中で年々漁師への想いは強くなり、33歳の時に父も所属する六ヶ所村漁業協同組合の組合員として、正式に漁師へ転職しました。

――会社設立の経緯は?

近年はサケ、イカなどの主力魚種の水揚量が昔の半分近くまで落ち込み、さらに価格も安い状況が続いていて、「このままで漁師を続けていけるのか」という不安がありました。そうした中で、地元産鮮魚をもっと高値で売る方法や、サイズが小さかったり漁で傷ついて見た目が悪い規格外となった魚の活用方法をずっと考えていました。特に規格外の魚は市場に出しても買ってすらもらえず、場合によっては廃棄せざるを得ないこともあります。恐らく漁師なら誰もがこうした状況を何とかしたいと思っているはずです。

そんな時、村の特産品開発プロジェクトに参加する機会を得ました。2016年から3年間のプロジェクトで、最終的に「小川原湖牛コロッケ」という特産品を開発し、様々な直売会やイベントで販売したのですが、その際に商品開発の面白さやブランディングの重要性を知ることができました。

そして、プロジェクト終了後に当時アドバイザーだった当社の共同代表の中田(千葉県在住)から、「六ヶ所村の地魚をネット販売してみないか」という提案を受けたんです。半信半疑で試験的にネット販売を行ったところ、想像以上に売れ、また評判も上々でした。魚のプロである漁師自らが目利きした魚は強いブランド力を持つことや、ネット販売なら地元だけでなく全国に向けても販売できるし、同時に六ヶ所村の情報発信にもつながることに気づきました。

また、課題である規格外の魚についても、自分たちが買い取って商品開発を行い、付加価値をつけて販売することもできると考え、昨年8月に2人で株式会社尾駮鮮魚団を立ち上げました。中田が主に事業企画、ネット部門を担当し、私が仕入、加工、流通部門を担当しています。

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