STORY

地域デザイン事業

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漁業のイメージを変えろ!~海の漢たちの新たな挑戦

尾駮産鮮魚のネット販売と規格外魚の加工で勝負!

――具体的な事業の内容を教えてください

事業は鮮魚直販と加工品製造・販売の2部門で展開しています。まず、メインの鮮魚直販は、「みらいマルシェ」(注1)などを活用したネット販売や、県の「Aプレミアム」(注2)を活用したバイヤー向け販売が中心となっています。コロナ禍での事業スタートでしたが、今のところ順調に推移しています。また、県内スーパーなどで定期的に行われる「あおもりの肴フェア」などの直売会やイベント販売にも力を入れています。

販売までの流れとしては、私が仲買人の資格を有していますので、尾駮漁港に当日水揚げされた魚を荷捌き場で直接買い付け、その日の午後には出荷しています。イメージは、漁から戻って水揚げ作業をするところまでは「漁師」、その後すぐに仲買人帽子をかぶって「尾駮鮮魚団」として買い付け、出荷するという感じですね。時には漁の作業中に船上で受注対応を行いながら、目ぼしい魚をチェックしていることもあります。今のところ会社組織とはいえ実質1人で仕入・発送も行っているので、時間に追われ、なかなか大変な面もありますが、漁師仲間の協力も得ながら事業を運営しています。

もう一つの事業は、規格外の魚などの加工品製造・販売です。加工品の製造は、荷捌き場の上にある漁協の加工場で行っています。炙りや燻製加工ができる設備も整っていますが、将来的にはある程度量産もできる自社の加工場も持ちたいと考えています。

加工品製造事業では、昨年、地方独立行政法人青森県産業技術センター・下北ブランド研究所の協力も得て、ヒラメ・サケのオイル漬けなどの瓶詰商品やサバ・サケの燻り焼きなどの冷凍商品を開発しました。今年の2月には、幕張メッセで開催されたスーパーマーケットトレードショーに出展して加工品のPRも行いました。その際にフィードバックされた評価を元に、さらに改良を加え、現在も試験販売を継続しながら商品のブラッシュアップに努めています。

今のところ当社で本格的に販売している加工品は、「漁師のタコつくね」です。六ヶ所沖で獲れたタコを加工したものなんですが、最近では直売会や地元の産直・六旬館でも売切れになるほどの人気商品になっています。ぜひたくさんの方に食べていただきたいおススメの一品です。

「漁師カード」ブームで漁師たちの意識にも変化が!

――大きな話題となった「漁師カード」の反響はいかがですか?

想像した以上に反響は大きかったですね。直売会などで商品を販売した際に配っていたカードなのですが、ブームになってからはカード目当てのお客さんも非常に多かったと思います。私は後で知ったのですが、某アニメのポーズを仲間ととった私のカードがテレビで取り上げられ、一時人気カードランキング1位になったそうです(笑)。その影響もあったのか、私にわざわざ会いに来てくれたお客さんがいた時は本当に嬉しかったですね。お客さんの中には、直売会に毎回来る子供や女性もいて、顔なじみのお客さんもたくさん出来ました。

――漁師の皆さんの意識にも変化があったようですね

これまで漁師が消費者と直接触れ合う機会はほとんどありませんでした。最初は私も含め正直戸惑いはありました。でも、お客さんと直接話をしたり、カードをもらって喜んでいたり、嬉しそうに魚を買って帰る姿を見て、仲間の漁師たちも感激して、もっとおいしい魚を届けたいという想いが強くなったようです。当社では、品質向上のため魚の神経締(注3)などの講習会を定期的に開催していますが、若手漁師を中心にこれまで以上に熱心に取り組むようになりました。また、作業中の魚の扱いも以前より丁寧になり、魚の品質も確実に向上していると感じます。これからも消費者に届くところまでを意識して、魚種毎の知識を高め、商品として丁寧に取り扱うことで尾駮産鮮魚の価値を高めていきたいと思います。

――県内の漁業関係者とのネットワークも広がったそうですね

これまでは他地区の漁師との交流は少なかったのですが、直売会などを通じて自然とネットワークも広がりましたね。最近では、他地区の漁師仲間からネット販売の進め方や加工品開発などの相談を受けることもあり、新たな挑戦を始める漁師が増えてきたように感じます。

漁師の高齢化や後継者不足は漁業の最大の課題です。私の周りは比較的若い世代が多いですが、他地区は60代以上で後継者もいないというのが大半です。こうした課題には、各地の漁業者が個別に取り組むよりも、漁業者間のネットワークを活かしながら業界全体が一緒になって解決策を模索していくべきだと思います。

私は、「漁師は楽しい、カッコイイ」をモットーにしています。事業を通じて「漁師は楽しい、カッコイイ」をどんどん発信し、漁業者間のネットワークも活かしながら、地域を超えて、県内の漁業全体を盛り上げていければと考えています。

(注1) みらいマルシェ:生鮮食品について全国の産地と食品スーパーを直接マッチングする法人向けアプリ。

(注2) Aプレミアム:県産品の国内外への流通拡大を物流面で支援することを目的とした青森県総合物流プラットホーム。

(注3) 神経締:ワイヤー状の専用器具を使い、魚の中骨上部に沿って走っている神経束(脊髄)を破壊し、魚の鮮度を保つ技術。

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