STORY

地域デザイン事業

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漁業のイメージを変えろ!~海の漢たちの新たな挑戦

「何もないなら、自分で作る」村の元気づくりにも挑戦

――村おこし活動にも積極的に取り組まれていますね

村特産品開発プロジェクトの後継組織として、妻と一緒に地域活性化団体「ロッキースタンス」を立ち上げ、地域イベントの企画や地元産品を使った商品開発などにも取り組んでいます。

例えば、2019年から毎年夏に、野外ロックフェス「ブルーグリーンキャンプフェスティバル」を開催しています。今年で3回目になりますが、毎年村内外から300人を超える集客イベントになっています。また、地場産の規格外ごぼうを使った「六ヶ所ごぼうメンチ」、地場産ブルーベリーを使った「ロッカショノースベリーチョコレート」などの商品開発にも取り組み、イベント出店を中心に販売しています。

――事業や地域の元気づくりに精力的に取り組んでいますが、その原動力は?

六ヶ所村は、どうしても「エネルギーの村」というイメージが強く、それ以外は何もない…という話を村内でもよく耳にします。確かに、六ヶ所村は生活に不便な面はあるかもしれないけど、海、沼、川、山などの自然が一カ所で楽しめる場所は県内では六ヶ所村以外にはないと思います。そして、大根、ながいも、ごぼうなどの農産物、海・沼・川で獲れる多種多様な魚介類も十分にある。こうした豊かな地域の資源を使って、「何もないなら自分で作る」という、いたってシンプルな発想で活動しています。

自分にとって六ヶ所村は、こうした想いを自由に実現できるフィールドだと思うし、それを受け入れてくれる村です。そして何より、この村にはチャレンジすることを応援してくれる人がたくさんいる、ということが私の事業や村おこし活動の原動力になっています。

夢は尾駮の海の幸を全国、そして世界へ!

――今後の抱負を教えてください

事業を開始して間もないので、まずは村内外での当社の知名度を高めていきたいです。そのためには、当社が提供する「尾駮産鮮魚」の品質の高さやおいしさを、より多くの人に知ってもらうことが必要です。

実は、村内でも当社の加工品は産直施設などでも購入できるのですが、鮮魚の販売量はまだまだ少ないのが現状です。そこで、商工会で実施している移動販売車「オジロ号」に当社の商品を載せてもらえるよう現在交渉しています。将来的には、自社保冷車で村内住民へ商品を届け、地場産の良さを知ってもらいながら高齢者の見守りや買い物弱者対策にも貢献できるサービスを展開していきたいと考えています。

また、SNSなどでの情報発信にも積極的に取り組んでいきます。昨年から六ヶ所村ではインスタグラムを活用した「見つけよう六ヶ所村のいいところ」という魅力発信プロジェクトを進めています。村民自らが自由に村の魅力や情報を発信できるプラットホームになっていて、当社も活動状況やおすすめ商品等について積極的に発信していますので、ぜひたくさんの人に見ていただければ嬉しいですね。

私の最終的な夢は、当社の事業を通じて尾駮産の鮮魚を「大間マグロ」のような全国的なブランドにまで育て上げることです。どの魚種や加工品をどのようにブランド化していくかもこれからですし、今はネット販売が中心で地元・県内での認知度も低い。でも、これからも六ヶ所村を起点に、「ないものは自分で作る」という自由な発想で何事にも積極的にチャレンジしていきたいです。そして、地元の資源やネットワークをフルに活かして、いずれは村民からも応援され、村の鮮魚や加工品を「尾駮ブランド」として全国、そしていつかは世界に発信できる「六ヶ所漁師の会社・尾駮鮮魚団」を目指して頑張っていきたいと思います。

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取材を終えて

私は漁師といえば、「無口で怖い、荒々しい海の漢たち」という誠に勝手なイメージを抱いていた。だが、イケメン漁師達が微笑む「漁師カード」を見て、「今はどうやらかなり違うらしい」と感じ、今回橋本氏とお会いして、漁師はもちろん漁業自体に対するイメージも一変した。インタビュー中の橋本氏は、人懐っこい笑顔でとても明るくフランクに、そして時に情熱的に事業や漁業、六ヶ所村に対する想いを語っていたのが印象的だった。

水産庁の「水産白書」によると、国内漁業生産量は平成期の30年間で約3分の1にまで減少し、漁業就業者の高齢化も急速に進んでいるという。また、漁業はいわゆる「3K=きつい、汚い、危険」、しかも「稼げない」というイメージが根強く、若年層からは敬遠されがちな業種であり、担い手不足も深刻な問題となっている。加えて、近年は気候変動等による海洋環境の変化が水産資源の分布・回遊に大きな影響を与え、漁業を取り巻く環境は厳しさを増している。

一方で、業界には新たな動きも見られる。宮城県石巻市の若手漁師集団「フィッシャーマン・ジャパン」は、次世代の目指す漁業の形として、「新3K=カッコ良くて、稼げて、革新的」を掲げ、漁師直販サイト運営や担い手マッチングなどを手掛け、漁業を取り巻く様々な課題解決に向けた取り組みを進めているという。

尾駮鮮魚団の取り組みは、まさに本県における「新3K」への挑戦だ。橋本氏の挑戦はスタートしたばかりだが、持ち前の情熱やバイタリティ、地域づくりで築いたネットワークを活かし、次世代の漁業の形づくりを担うトップランナーとして着実な歩みを進められることを願ってやまない。

(取材・編集 福士暁)

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